平成31年度(2019)に実施した展覧会、イベント記録

特別展「北上川舟運と海 -つなぐ、広がる、時代を超えて-」

特別展チラシ

 令和元年9月21日(土曜日)から12月8日(日曜日)まで、特別展「北上川舟運と海-つなぐ、広がる、時代を超えて-」を開催しました。本展は関連事業と合わせて、日本財団が助成する「船の科学館『海の学びミュージアムサポート』」の支援を受けて実施したものです。

 現在桜の名所となっている展勝地のちょうど対岸に、江戸時代、黒沢尻河岸という盛岡藩最大の川港がありました。したがって、当館では北上市の歴史的特徴の一つとして、北上川舟運について常設展示しています。

 また、平成23年度にも「南部藩の北上川舟運と黒沢尻河岸」と題して企画展を開催し、黒沢尻河岸の舟運施設等を解説しながら、地元に残る船絵馬や当館所蔵の船道具等を展示して、盛岡藩の廻米体制を中心に紹介しました。

 

 今回の展示では、現在の岩手県内流域において、江戸時代に河岸があった地域を取り上げ、それぞれの地域が北上川とどのように向き合ってきたのか、あるいは舟運に関わる事柄にどのような特徴があったのかを紹介しました。そのうえで河口・石巻の先にある海運や、令和2年1月に当市と姉妹都市になった千葉県流山市の利根川・江戸川舟運史の一端に触れたほか、北上川舟運の艜船頭から商人に転身して海を舞台に活躍した郷土の先人・城沢朝吉の業績にも触れ、海とのつながりについても紹介しました。


 特に、県内流域については、博物館等で現在ご活躍中の皆さんにご協力いただき、それぞれの視点から各地域の特徴に焦点を当ててもらいました。また、江戸にたどり着くまで、関東の諸河川には小堀河岸や関宿河岸をはじめ、多くの河岸が存在しましたが、本展では前述の理由から、流山市立博物館のご協力をいただいて、流山を取り上げて紹介しました。

 9月21日は、川岸かっぱ太鼓さんの力強い演奏でオープニングセレモニーに花を添えていただき、引き続いて行われた担当学芸員による解説にも多くの方が参加してくださいました。

12月8日までの会期中、1,971名の方にご観覧いただきました。

特別展関連事業

探訪会「川から海へ!」

9月28・29日実施、参加者のべ23名。

一関市川崎にある川崎防災センターを拠点に、実際に北上川上をボートで探索し、江戸時代の舟運に思いをはせました。

一日目は、「北上川舟道図(きたかみがわしゅうどうず)」に「難所」として紹介されていた山あいの狭窄部や水流が渦を巻いているところなどを通り、いかに船頭が苦労して川を運航していたのか、その苦労を実際に体験しました。二日目は宮城県登米市と石巻市の間にある「脇谷閘門(わきやこうもん)」を見学しました。この年の9月は雨が少なく北上川の水位も低かったため、普段は隠れて見えなくなっている「水制工(すいせいこう)」という、航路の水深確保等を目的に造られた近代の工作物を所々で確認することができました。

講演会「『雑書』にみる盛岡藩の自然環境とその利用―海の恵み、川辺のにぎわい―」

10月13日開催、聴講者27名。

講師に東海大学文学部准教授の兼平賢治氏をお迎えし、海と川のつながりを考える学習会を行いました。兼平氏は、北上市の市史編さん近世部会長も務めています。

盛岡藩家老席執務日記の「雑書」や、海産物の取り扱いで財を成した前川善兵衛家の古文書などから、豊かな自然の恵みを背景に三陸が発展してきたことや藩主南部家と北上川とのかかわりなどについてお話をいただきました。

フォーラム「北上川舟運を語る」

10月19日実施、聴講者35名。

パネラーは、もりおか歴史文化館の熊谷博史氏、紫波町教育委員会生涯学習課の岩舘岳氏、花巻市博物館学芸員の小田桐睦弥氏、えさし郷土文化館の野坂晃平氏、一関市博物館の相馬美貴子氏の5名。コーディネーターは当館の渋谷が務めました。

北上川流域の自治体で学術研究にあたっているパネラーの皆さんそれぞれの観点から北上川について語っていただきました。

「知力×体力? クイズ!北上川舟運」

10月20日実施、参加者57名。

全7問のクイズを、展示解説を参考にしながら解きました。最終問題はお米の重さを当てるもの。用意したのは江戸時代の半俵分(31キログラム)でしたが、そこから1俵の重さについて想像し、さらに舟運で使われていたひらた船は350俵積みだったので、河岸で働く人たちの労苦を想うことができたのではないでしょうか。全問正解者にはクイズで使ったお米をプレゼントしました。

 

その他の企画展、テーマ展概要

企画展「會田コレクションと境界の刀剣 ~南部と伊達の境を守りし刀たち~」

4月6日から5月12日まで開催、会期中の観覧者のべ1,813名。

會田コレクションの長曾根虎徹等の刀剣類のほか、現在の北上市内にて南部領盛岡藩と伊達領仙台藩が接していたことからそれぞれの郷土刀を紹介。会期中は美術刀剣研磨師の菊池真修さんによる刀剣研磨実演とギャラリートーク(4月14日、参加者153名)と現代刀匠の宮城典真氏による刀剣入門講座とギャラリートーク(5月3日、参加者54名)を実施し、大いに盛り上がりました。

 

テーマ展「農家のくらし ~北上のかやぶき民家~」

4月13日から12月1日まで開催。

丹治敬子さんが描いた北上地方の農家の水彩スケッチを展示しました。

 

企画展「會田コレクションと人形手茶碗の世界 ~うつわに描く~」

5月25日から会期を延長して8月18日まで開催、観覧者1,275名。

會田氏が集めた磁器の中には鍋島青磁や初期伊万里があることから、中国の青磁作品も併せて紹介しました。日本、中国、朝鮮のそれぞれの特徴を、「青磁」をキーワードに比較展示したものです。

 

企画展「昔の道具とくらし展」

6月1日から9月30日まで開催、会期中のべ2,448名が見学してくださいました。

明治~戦前期、昭和30・40年代、昭和60年・平成一桁年代の3つに展示台を分け、それぞれの時代、北上市内で使われていた日用品をまとめて展示しました。北上の電気や水道の普及、交通網の発展についても解説。期間中は、多くの小学生が見学に来てくれました。

 

企画展「世界のカブト&クワガタ展」

7月13日から9月30日まで開催、見学者のべ1,698名。

和賀分館で開催しました。北上市内に生息する種のほか、日本や海外のカブトムシとクワガタムシ、その仲間の標本を展示しました。生体展示も行い、子どもたちを中心に多くの方に来ていただきました。

 

企画展「新収蔵資料展」

1月11日から2月16日まで開催、観覧者274名。

平成30年度の新収蔵資料展開催以降に市民の皆さんから寄贈していただいた資料を展示しました。通常、資料の寄贈をいただいた後は調査研究を行い、その結果を活かせる企画展等が開催されるまでは収蔵庫にて保管しますが、今回はお披露目ということで展示しました。

 

企画展「見てわかる!作ってわかる!ハチの巣展」

1月25日から3月31日まで開催、観覧者のべ683名。

巨大なキイロスズメバチの巣を寄贈していただいたのをきっかけに、年初予定にはありませんでしたが開催した企画展です。スズメバチが巣を作るとき、木をかみ砕いたものを塗り固めて作っていく様子を色付き紙パルプで再現する試みも行われました。ハチの種類によって異なる巣の姿をご覧いただけたのではないでしょうか。

 

企画展「春の人形展」

2月22日から3月29日まで開催、観覧者のべ300名。

毎年恒例の、ひな人形の展示です。江戸時代の雛人形の変遷がわかるよう、今年は年表も作成しました。この会期中から新型コロナウイルス感染症が国内でも猛威を振るい始め、予定していた関連ワークショップは中止となってしまいました。

教室・学習会の開催状況

夏の親子工作教室「ちぎって貼って!ミニうちわ」

8月3日開催、親子6組14名参加。

牛乳パックからとった紙パルプに絵の具で色を付けたものを用意。「夏」をテーマにうちわの図柄を決め、その絵に合った色紙を手作りしました。できあがった手漉きの色紙をちぎってうちわに貼り、完成です。スイカや花火、アイス、海辺の風景など、それぞれの「夏」うちわができました。

 

自然探索会「秋の生き物観察会」

10月5日開催、親子6組19名参加。

みちのく民俗村を会場に、ライトトラップ、ピットフォールトラップ、ゲンゴロウトラップを用いて生き物採集を行い、観察しました。ザリガニやコガネムシ、ガなどがとれ、子どもたちは講師に熱心に質問していました。夏とは違った生き物観察ができました。

 

秋の手作り講座「どんぐりのリース」

10月27日開催、参加者17名。

北上市内で採取したフジやアケビのつるを土台とし、まつぼっくりやドングリなどをグルーガンで接着、かわいいリースを作りました。ポイント使い用に、粘土でつくったヒメリンゴや緑の葉っぱ、赤い木の実などのパーツも用意しました。ドングリに顔を書いたりまつぼっくりを合体させて小鳥を作ったりする上級者もいて、センスあふれる作品をつくることができました。

 

冬の親子工作教室「消しゴムはんことステンシル」

12月8日開催、親子6組13名参加。

グリーティングカード、年賀状にぴったりのはんことステンシルシートを作りました。最初にしっかりと彫刻刀やカッターの使い方を勉強し、はんこづくりに取り掛かります。干支のネズミやおもち、羽子板、サンタさん、流れ星などのはんこができあがりました。子どもも親も、夢中になって作っている姿が印象的でした。

 

常設展示解説会「博物館を6倍楽しむ方法」

1月19日から2月23日までの毎週日曜日(全6回)、のべ105名が参加。

当館が平成28年度にリニューアルしてから、毎年行っている講座です。北上の歴史を語るうえで欠かせない6つのテーマしに基づいて常設展示を行っていることから、その一つ一つについて深く学べば6倍楽しく展示と向き合うことができるはず!とのねらいからスタートしたもので、毎年少しずつ違う観点からお話をしています。

 

春の手作り講座「折り紙でつくるおひなさま」

2月29日に開催の予定で、たくさんの方にお申込みいただいておりましたが新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止としました。

 

 

 

特別展「北上川舟運と海 -つなぐ、広がる、時代を超えて-」をはじめ、平成31年度に行った企画展やイベントなどの詳しいレポートが掲載されている「博物館だよりNo.41」は当館で配布中です。(なくなり次第終了します。ご希望の方はお早めにどうぞ)

 

この記事に関するお問い合わせ先

北上市立博物館

〒024-0043
岩手県北上市立花14-59
電話番号:0197-64-1756
メールでのお問い合わせはこちら
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更新日:2020年06月22日