(70)「まち育て」雑考

山登りは楽しい。途中、花々や鳥、時に小動物に出会う事もある。木漏れ日が揺れるブナ林を抜け、森林限界を越えると突然に開ける展望。ようやくたどり着いた山頂でいただく珈琲はまた格別である。岩場や沢渡りのスリルもあり、チョット苦しくても自分の脚で登らなければ、登山の喜びは得られない。 私は時々「まち育て」を登山のようだと感じることがある。「まち育て」とは身近にある地域資源を発掘し、育てる事で地域を元気にする活動である。その資源をどう料理するのか、「ああでもない、こうでもない」と仲間が集い、何日もかけて話し合う。いざ前に進もうとすると思いがけない壁に突き当たり、また「ああでもない、こうでもない」。はたから見ると、何ともどかしいことか。それでも当人たちは真剣だ。しかもそれが実に楽しい。事が成就した時には喜びが倍増する。だから、「まち育て」は市民の誇りを育てるのである。だとすれば、行政は「まち育て」とどう向き合えば良いのだろうか。かつて人々はこの楽しいプロセスの一切を行政に任せようとしてきたのではないだろうか。確かに、行政は財源も情報もあり、結果を出そうとすればすぐにでも出せるのかもしれない。ヘリコプターで登頂するように。でも、本当にそれで良いのだろうか。自分の脚で一歩一歩、山に登るプロセス。地域資源を生かすべく組織を立ち上げ、考え、汗をかくプロセス。それを行政が奪ってしまってはせっかくの「まち育て」も台無しである。行政の動きが時にまどろっこしいと思うことがこの私にもある。その時はぜひ目を凝らして周りを見ていただきたい。そこには市民による「まち育て」の大切なプロセスが潜んでいるのかも知れないから。

 北上市長 髙橋 敏彦 

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更新日:2019年02月28日