(88)ドン・キホーテ症候群

 

 ドン・キホーテという名前は皆さんも何処かで耳にしているのではないかと思う。これは、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスの小説で、騎士道物語の読み過ぎで現実と物語の区別がつかなくなった郷士が、自らを遍歴の騎士と任じ、冒険の旅に出かける物語である。風車を巨人(モンスター)と信じて突撃するシーンなどは知っている人も多いのではないだろうか。

 風車は風の力で排水や発電などの大切な役割を果たす誰もが知る施設である。それをモンスターに仕立てて破壊しようという訳であるから、小説であれば大変滑稽で面白いのだが、現実社会では大きな災いをもたらすことになる。巷ちまたではそれをドン・キホーテ症候群などと呼んでいるようだ。
 

 実際に私たちの生活にとって大切な人や物があるキッカケでモンスターとして標的にされ、民衆が同調することで、復元できないほどに壊されてしまう場合がある。風車を一旦モンスターと認識してしまった民衆は、いくら周囲が、それが風車であることを解いたとしてもなかなか認知できないほど、周りが見えなくなってしまうのだそうだから恐ろしい。
 

 思えば歴史の中で何度このような過ちが繰り返されてきたことか。あの大きな戦争も、従軍慰安婦の誤報をきっかけとした日韓関係の悪化も、事業仕分けと称して地方の公共事業を削減したことも、自分があたかも巨悪を退治する英雄であると錯覚したために発症してしまったと言える。ドン・キホーテ症候群による公共事業予算の削減はいまだに地方の発展を阻害していると私は思うのだが。

 今年は地域にとって転機の年でもある。私たちはドン・キホーテに惑わされないよう、冷静に地域や日本の未来を考えたいものである。

 北上市長 髙橋敏彦

(令和元年7月26日発行広報きたかみ「珈琲ブレイク」より)

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更新日:2019年08月21日