(91)市民ニーズと政策形成

 政策を形成する際、市民ニーズを正確に把握することが重要であることは言うまでもない。一言で市民ニーズと言っても、その性質によっていくつかのランクに分かれる。一番広く使われている「ニーズ」は、ある理想的な状態と現実とのギャップを表現したものだ。「ウォンツ」は「ニーズ」よりもランクが上で、理想的な状態と現実とを埋めるために必要な手段のことを言う。例えば「もっと楽に通勤したい」が「ニーズ」であれば、そのために「車が必要だ」は「ウォンツ」となる。更に上の「デマンド」は、対価を支払って「車を買いたい」状態である。政策の精度を上げるためには、市民ニーズのランクをしっかりと見極める必要がある。

 しからば市民ニーズのランクによって行政はどう対応すれば良いのだろうか。例えば「渋滞に遭わずに列車で通勤したい」という「ニーズ」があるとすると、職場近くに駅が無い場合は「駅が欲しい」が「ウォンツ」という事になる。しかしその場合、事業主体が鉄道運営会社になるので、この段階での行政の役割は「ニーズ」や「ウォンツ」の存在をまず事業主体に伝えることになる。事業主体は「ニーズ」や「ウォンツ」が「デマンド」になり得るかどうか、調査・分析し、見極めることになり、「デマンド」が見込まれなければ、構想はそこで消滅することになる。

 一方、渋滞解消や公共交通政策に照らし合わせて相当程度の公共的便益が見込まれる場合には、自治体が経費の分担を覚悟で請願駅などを実現しなければならないこともある。その場合は他の行政サービスへの影響を考えながら、最終的には議会が予算審議の中で是非を判断することとなる。このように市民ニーズはそのランクや主体の違いによって対応はいく通りもあり、先入観や固定観念で拙速に判断し、機を逸しないように心掛けたいものである。

 北上市長 髙橋 敏彦

(令和元年10月25日発行広報きたかみ「珈琲ブレイク」より)

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更新日:2019年10月30日