(101)コロナ禍から見える未来

 いったん山場を越えたかに見えた新型コロナウイルス感染症流行の猛威が、いまだに全世界を席巻し続け、わが国でも第二波と思われる感染者急増が連日報道されている。ワクチンや特効薬の開発・普及はまだ見通しが立たず、それまではウィズコロナの暮らし方が長引き、市民はそれぞれの立場で感染防止策を徹底しながら不自由な生活を余儀なくされるものと思われる。私たちはこれを天から与えられた試練と受け止め、コロナ禍から大切なことを学び、未来に結びつけるため、しっかり考える機会にするべきなのだろう。


 政府による緊急事態宣言が発出される1カ月ほど前、乳児を抱えた若い夫婦が、勤める企業がいち早くテレワークに切り替えたため、妻の実家がある岩手に避難してきた。いわゆるコロナ疎開である。実家の片隅で一人パソコンに向かう日々は随分窮屈なのだろうと、私は内心思っていた。ところが本人いわく、長時間の満員電車での通勤から解放され、家族とのコミュニケーションなど、結構自由な時間を楽しめているのだそうだ。そういえば、仕事の合間に近くの河川公園で汗をかき、頻繁にW E B飲み会で仲間とも交流し、さらにショッピングも三密にならないので家族でよく出かけていた。


 改めて考えてみると、若い人たちはこれまで、大都市にこそ素晴らしいライフスタイルがあるものと思い込んでいたのではないだろうか。ところが、大都市には思いもよらぬ脆ぜいじゃく弱さがあり、実は仕事も遊びも日々の生活も、地方都市にこそ魅力があったのだと、今回思い知らされたという訳である。一方、これまで若者の流出に悩んでいた私たち地方都市の側は、潜在意識の中に諦めがあったのか、地方都市の魅力を若者に伝えきれていなかったのではないだろうか。図らずも今回のコロナ禍は、若者に大都市の負の面を知らしめ、地方都市の大きな魅力を印象付けた。地域経済の停滞という大きな代償はあったものの、これを機に私たちは、コロナ禍が示してくれた地方都市の可能性に磨きをかけて地域の未来に生かしていきたいものである。 

 北上市長 髙橋敏彦

(令和2年8月28日発行広報きたかみ「珈琲ブレイク」より)

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更新日:2020年09月23日