【終了】博物館企画展「祈りの刀」

コロナを断ち切る! 刀剣に込められた祈りとは…

展示概要

令和4年4月9日から5月29日まで、博物館本館にて企画展「祈りの刀」を開催しました。仏を意味する梵字が彫られた刀や、疫病除けに効くという神様・鍾馗の図柄の刀装小道具などのほか、地域の神社に納められた宝剣額や、無事と活躍を祈った軍刀なども展示しました。

刀に託したさまざまな「祈り」を感じていただければと企画したものです。

会期中は多くのお客様にご来館いただきました。また、会期中は次のような講座等を行い、熱心なお客様に来ていただきました。

(1)4月9日 展示解説 講師:現代刀匠・陸中和吉氏

(2)4月23日 刀剣研磨実演とギャラリートーク 講師:刀剣研磨師・菊池真修氏

(3)4月29日 刀剣鑑賞入門講座 講師:現代刀匠・宮城典真氏

(4)5月5日 五寸釘でペーパーナイフを作ろう 講師:陸中和吉氏

(5)5月8日 中鉢美術館館長特別講演会 講師:中鉢弘氏

(6)5月29日 刀身彫りの実演 講師:陸中和吉氏

 

 

会期は終わりましたが、活動の記録として開催告知時の文言を一部修正したうえでページの公開を続けます。

企画展チラシをPDFでご覧いただけます(4月12日更新)

展示図録のご案内

図録の表紙

この表紙が目印!

図録の中身サンプル

展示解説と資料写真を掲載

展示内容の解説をまとめた図録を頒布しています。

刀剣や資料の写真を掲載していますが、他館および個人の方から特別にお借りした資料については掲載していませんのでご了承ください。

価格は1冊500円です。

通信販売も承っております。郵送料370円とご希望の冊数に応じた代金を現金書留にてお送りください。また、このページ下部から問い合わせメールを送ることができます。

通信販売について質問がある場合、電話またはこの問い合わせメールをご利用ください。

展示資料の一部をご紹介します

脇差 銘 相州住綱廣(つなひろ)

つなひろの刀身に彫られた倶利伽羅(くりから)剣

綱廣の刀身に彫られた倶利伽羅剣

上の画像は、長さ59センチメートル、反り1.5センチメートルの脇差の彫部分を写したものです。当館所蔵「會田コレクション」の中の一振で、平成17年に寄贈を受けたときにお披露目して以降、久しぶりの公開となります。

相州とは相模国、現在の神奈川県周辺を指します。綱廣は1500年代中頃から明治にかけて14代続く刀工で、相模を中心に活動していました。この刀が作られたのは、鑑定書によると5代目から9代目にかけての時期にあたります。

表側には画像のような草の倶利伽羅が、裏には腰樋に宝珠の浮彫が施されています。

5代目の綱廣が特に彫りの技術が高かったようです。5代目の作だとすると、1600年代後半に作られたものでしょう。

 

倶利伽羅とはもともとサンスクリット語のkulikaからきたことばで、インドの竜王の名です。
直立する宝剣に、火炎につつまれた黒龍が巻き付いているような図柄です。

この剣は不動明王を表しており、一切の邪悪を断ち切り滅ぼす象徴とされています。

企画展ではこの綱廣のほかにも、不動明王を表す梵字を刻んだ新藤國義の刀などを展示しました。

 

 

刀装小道具 鬼鍾馗図縁頭

しょうきさまの描かれた頭と小鬼の描かれた縁

鍾馗様の描かれた頭と、小鬼の描かれた縁。笠の破れ目から様子を伺う小鬼がユーモラス。

刀を握るところを「柄(つか)」と言いますが、その柄の両端についている小道具が縁頭です。

柄の、鐔(つば)側につけるのが「縁(ふち)」、握った小指側、柄の先端につけるのが「頭(かしら)」です。

頭に描かれた鍾馗とは、もともと中国の民間信仰の神様で、魔よけや疫病除けに効果があると信じられてきました。

日本では端午の節句の行事に取り入れられ、鍾馗の姿を描いたのぼりを立てたり鍾馗の人形を飾ったりする家庭もあります。

目が大きくてひげが濃く、黒い衣冠に長靴をはき、剣を持った姿で描かれます。そしてたいていは小鬼をつかんでいるか、追いかけているかという図柄で描かれます。

赤銅の高彫で、立体的に表現されています。細かい部分をみると、薄肉彫や毛彫、据紋象嵌(すえもんぞうがん)という技法を駆使して作られていることがわかります。

作者は奈良派の濱野政隨です。

 

その他は・・・?

宮城県大崎市岩出山にある中鉢美術館さまより、室町時代中期の太刀「月山俊吉」をお借りしました。月山一派の特徴は、波打つような美しい「綾杉肌(あやすぎはだ)」と呼ばれる地鉄模様です。

月山といえば、山形県にある出羽三山、修験道の山を思い浮かべるのではないでしょうか。綾杉の模様は、出羽三山神社の境内にある杉の古木の肌をイメージして生み出されたという説もあります。月山一派が刀づくりを始めたのは古く鎌倉時代にさかのぼりますが、綾杉肌が顕著にみられるようになるのは室町時代に入ってからのことです。他の刀剣と見比べながら、その肌をじっくりご覧ください。

 

また、今年は少し毛色の変わった刀剣も展示しました。
「祈り」というキーワードから、神社の奉納太刀や宝剣額の剣も展示しました。
そして、昨年寄贈していただいた、「昭和十八年秋」「武久」の銘がある軍刀を拵付きで展示しました。太平洋戦争開戦から80年経った今でも世界各地で戦火が消えることはありません。このご時世だからこそ、今一度平和について考えてみていただきたいです。

 

さらに、県内在住の現代刀匠・陸中和吉氏が昨年制作した「悪鬼滅殺」の刀、刀剣鑑賞入門講座の講師でもある宮城刀匠のお父様渾身の作「ソハヤノツルキウツスナリ写し」も展示し、話題となりました。

この記事に関するお問い合わせ先

北上市立博物館

〒024-0043
岩手県北上市立花14-59
電話番号:0197-64-1756
メールでのお問い合わせはこちら
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更新日:2022年07月21日