(経営改革)背景と必要性

 北上市では恒常的な財源不足を解消し、永続的に持続可能な 財政基盤を確立させ、行政経営の機能強化を図り、「自ら創造し、いきいきと支えあい、笑顔咲き誇るまち」を将来像とする次期総合計画の10年後に目指す姿 を実現させていくために、平成23年度から新たな経営改革に取り組みます。 

まちづくりの経緯

 北上市は、昭和30年代から工業団地を造り、企業誘致による産業振興をまちづくりの柱としてきました。その結果、180社を超える企業が立地するなど多くの雇用が創出され、人口、税収の増加に示されるように、市勢はこれまで順調に発展してきました。  

 平成3年4月には3市町村の合併を実現し、行政サービスは高い水準で、住民の負担は低い水準でまちづくりを進めてきました。合併により地方交付税の特例の恩恵を受け、住民の快適な居住環境の整備のための下水道事業や農業集落排水事業、大型投資事業など、積極的に事業を展開してきました。しかし、振り返ると、身の丈以上の施設整備などを行ってきたという反省点も残ります。

 一方で、行財政改革に継続して取り組み、行革大綱・行革推進計画、行財政改革緊急プログラム、行財政構造改革計画に全庁的に取り組み、人件費の抑制や経常的経費の削減などに、着実な成果を挙げてきました。

国の動向と社会経済情勢

 国の三位一体改革により、地方交付税は大幅に削減されたほか、平成の大合併で合併した団体へ地方交付税が重点的に配分されたため、北上市の配分はピーク時の約半分にまで落ち込んでいます。

 また、平成19年度に制定された財政健全化法では、普通会計・特別会計・企業会計を合わせた連結で健全化が判断されることとなりました。さらに一昨年来の世界同時不況の影響も大きく受け、順調に増加していた市の人口も、20年度に初めて減少する事態となりました。

現在の財政状況と財政見通し

 北上市の19年度の連結決算では24億円を超える赤字となり、全国約1,800自治体のうち、連結で赤字だったのは北上市を含む71団体しかありませんでした。

<北上市の連結会計の状況> 
           (単位:百万円)
区分 19年度実質収支 20年度実質収支 21年度実質収支 21年度末起債残高
普通会計 213 679 852 40,311
特別会計 国民健康保険 3 11 157
老人保健 75 -17 1
後期高齢者医療   49 0
介護保険保険事業勘定 94 121 135
介護保険介護サービス事業勘定 -7 0 0
工業団地事業 -2,862 -2,328 -2,307
農業集落排水事業 1 1 2 9,546
駐車場事業 0 0 0 2,157
宅地造成事業 -694 -505 -483 0
小計 -3,390 -2,668 -2,495 11,703
合計(普通会計+特別会計) ア -3,177 -1,989 -1,643 52,014
公営企業 上水道事業 1,474 1,154 1,171 6,883
下水道事業(H20から法適用) -710 -111 -110 26,166
合計 イ 764 1,043 1,061 33,049
総合計 ア+イ -2,413 -946 -582 85,063

 今年8月に策定した財政見通しでは、現状の行政水準を維持しながら何の対策も取らずにいると、23年度に6億円、24年度には15億円を超える収支不足が見込まれ、収支不足は31年度まで続くと見ています。

<財政見通し>      
                                                        (単位:百万円)
  H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31
歳入総額 22,850 21,835 21,844 21,905 21,834 21,748 21,691 21,618 21,592
歳出総額 23,455 23,373 23,298 23,842 23,908 23,745 23,861 22,855 22,110
過不足額 -605 -1,538 -1,454 -1,937 -2,074 -1,997 -2,170 -1,237 -518
  一般財源ベース(国県補助金等の特定財源を除いたもの)

 一時的ではない恒常的な財源不足が見込まれる中、ここ数年の収支不足を補ってきた基金もほぼ底をついた状況になっています。

先送りできない課題

 これまで説明したような背景に加え、市には先送りできない困難な課題が山積しています。

 とりわけ大きな課題は、北上地区広域土地開発公社が抱える96億円もの借金です。工業団地を分譲する際に公社が市に代わって先行取得し造成したもので、土地の取得価格に対し、その後の地価下落が続き、残りの区画が完売しても差損が発生する状況です。この借金を第三セクター等改革推進債の導入で、20~30 年かけて計画的に返済し解消していかなければなりません。

 同じように工業団地特別会計には公社からの取得価格との価格差による差損で累積赤字23億円が生じており、一般会計からの繰り出しにより10年かけて計画的に解消していくものです。

経営改革に取り組む必要性

 課題を先送りすることなく、将来にわたって真に必要とされるまちづくりと行政サービスを維持するためには、経営改革に取り組む必要があると考えています。

  23年度からの北上市総合計画では「自ら創造し、いきいきと支えあい、笑顔咲き誇るまち」を将来像とし、10年後の目指す姿を実現させるための計画を策定 しています。これを実現していくためには恒常的な財源不足を解消し、持続可能な財政基盤を確立することが不可欠です。まちづくりのための選択と意思決定を 合理的に行う行政経営の機能強化も必要です。

 北上市がこれからも発展していくための新たな戦略づくりであり、厳しく苦しい時期を乗り越え、市が行財政運営で自立することと、市民参画や協働により、住む人や働く人にとって満足度の高いまちづくりを目指します。

具体的な改革項目

 経営改革では、歳出削減と歳入確保の両面から取り組む必要があります。具体的な取り組みとして、(1)市の施設のあり方の検討、(2)減免規程の見直し、(3)施設使用料の見直し、(4)補助金負担金の見直し、(5)市税の見直し の5項目を大きな柱としています。

取り組み一覧表
区分 項目 内容
歳出削減 市の施設のあり方検討 23施設を廃止し、11施設を地元移管とすることなど
補助金負担金の見直し 49補助金などを廃止(退会)とすることなど
歳入確保 減免規程の見直し 全庁的に基準を統一し、全額負担いただく場合/1/2に減額する場合/全額免除する場合を整理
施設使用料の見直し 現行の使用料をおおむね2倍程度まで引き上げる。平成32年度までに維持に要する費用の50%相当を受益者負担とすることを目標
市税の見直し 平成23年度から27年度までの5年間に限定した税率改定
固定資産税:1.4%→1.6%
法人市民税(法人税割):12.3%→14.7%

 市民生活に直結する項目が多く、市民の皆さんに新たな負担をお願いするものですが、どの項目も将来にわたる安定的な行政サービスを続けるために欠くことのできないものと考えています。

市民の皆さんへの説明

 9月13日から10月1日にかけて、全地区の交流センターで地域説明会を開催しました。

 市の施設見直しでは該当する行政区を単位とした個別説明を、補助金見直しでは該当する各団体への個別説明を随時実施しています。

 また、交流センターにも資料を置いておりますのでご覧ください。

 関連する内容を議案として整理し、市議会12月定例会への提案を予定しています。

 一刻も早くこの危機的状況を脱するための避けられない決断と考えています。市民の皆さんにはご理解くださるようお願いします。

関連書類のダウンロード

この記事に関するお問い合わせ先

政策企画課 行政経営係


〒024-8501
岩手県北上市芳町1-1本庁舎2階
電話番号:0197-72-8224
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更新日:2019年02月28日