1 改革の必要性

 

1 これまでの経過

 本市の行政改革は、これまで2次にわたる行政改革大綱に基づき、職員の削減、補助金等の整理合理化、使用料・手数料の見直しを実施〈表1〉してきました。
 職員の削減は、三市町村合併に伴い同規模の都市並みに削減し人件費の縮減を図ってきました。補助金の見直しでは各種団体に交付している補助金について削減するなど、極力支出の抑制を図ってきたものです。
 また、使用料等の見直しでは、受益者負担の適正化の観点から各種の使用料等を見直してきたもので、こうした改革から生み出した財源は、市民福祉の向上や新市のまちづくりに振り向けてきました。
〈表1〉 主な行政改革による効果額(平成3~14年度)
区 分 効果額 期 間 改革内容
人件費の削減 42億5,300万円 平成3~14年度 全体で76人削減
補助金の見直し 5億3,100万円 平成5~14年度 286件縮減
使用料等の見直し 6億6,900万円 平成9~14年度 17件増収
合 計 54億5,300万円    

 

2 地方分権社会への移行

(1) 地方分権時代にふさわしい自治体の構築
 地方の自立といわれる中で、地方分権時代にふさわしい自治体の構築が求められています。
 これからの自治体には、自ら政策を立案・実行し、責任を負う責務と行財政基盤を磐石なものとして、効率的な地域経営に取り組むことのできる自治体を創り上げていくことが、地方分権時代に求められる自治体の姿といわれています。
 しかし、ここ1年~2年の間に、当初予想し得ない地方交付税の削減や市税収入が落ち込み、現状のままでは大幅な財源不足を生じかねない状況となってきました。
 こうしたことから、本格的な地方分権社会への移行に対応していくためにも、分権時代にふさわしい自治体への改革が迫られています。
(1) 地方分権時代にふさわしい自治体の構築
  (1)自ら政策を立案・実行し、責任を負う自治体
分権時代に
ふさわしい
自治体像
(2)効率的な地域経営に取り組む自治体
(3)社会経済の構造変化に柔軟に対応できる自治体
(4)市民満足度を追求する自治体
  (5)市民が主体的にまちづくりに参画できる自治体

 

(2) 国の地方制度改革の方向
 地方分権推進一括法が平成12年に施行され、地方への権限委譲が進む中、残された課題は地方税財政のあり方についてです。
 今年の6月に「 経済財政運営と構造改革に関する基本方針 」が右のように決定され、地方制度改革がスタートすることになりますが、削減する具体的補助金、抑制する地方交付税総額の具体的目標数値、税源委譲する税目等が示されておらず、まだ不透明な状況です。
 この「三位一体の改革」が、単に国の財源不足を地方に転嫁されることのないよう注視していくとともに、ここ数年間は、地方交付税等の抑制がつづくものと推察されますので、引き続き厳しい財政環境が続くものと思われます。

(2) 国の地方制度改革の方向

〈経済財政運営と構造改革に関する基本方針〉
《三位一体の改革》 地方制度改革として2006年度までに
 ・国庫補助負担金 4兆円削減
 ・地方交付税総額の抑制
 ・税源委譲(国庫補助負担金の削減額の8割)

 

3 財政の現状と財政運営

(1) 平成14年度までの財政状況
   地方税(市税)と地方交付税(普通分)について、ここ数年の動向をみますと〈表2〉のような状況となり、平成14年度決算見込額で12年度決算と比較す ると、23億6,100万円もの歳入減となり、これからのまちづくりを定めた総合計画を策定した時に見込んでいた財政見通しを大きく下回っています。

(1) 平成14年度までの財政状況

〈表2〉 地方税・地方交付税(普通分)収入の年度別比較
区 分 平成12年度決算 平成13年度決算 平成14年度決算見込
地方税 115億5,000万円 118億5,300万円 114億7,800万円
普通交付税 91億3,900万円 80億4,900万円 68億5,000万円
206億8,900万円 199億0,200万円 183億2,800万円
対 H12 比較    △ 7億8,700万円 △ 23億6,100万円

 

画像
(2) 地方債残高(借金)の状況
 地方税や地方交付税とは別に歳入の中で大きなウエイトを占めているものに地方債(市債)があります。地方債とは、市が公共事業等を行う場合に、資金調達のためにする債務(借金)で、その返済は長期(平均15年程度)にわたり公債費として返済される仕組みとなっています。
 本市が借入している地方債は、平成14年度末の残高で445億6,900万円となっており、市民一人当たりに換算すると481,983円で、年間に返済する公債費は44,219円となっています。
 なお、この地方債の償還額の約40% 程度は地方交付税で補てんされます。
 一方、市の預金 (市債管理基金、財政調整基金)といわれる積み立てしている基金総額は、平成14年度末現在で50億6,000万円で、市民一人当たりで54,720円となっています。
 本市は、これまで市総合計画に基づき道路整備、施設整備など世代を超えて利用する施設等の整備に、この市債を充ててきましたが、その残高〈表3〉も年々増加し、近年、収入が減少していく中で返済する公債費の占める負担が財政運営に重くのしかかってきています。
(2) 地方債残高(借金)の状況

〈表3〉地方債(市債)残高の推移 (単位:億円)

画像
ここ数年間(平成8~14年度)の主な地方債
  事  業  名   総事業費 (うち地方債)



●道路整備に …………… 約 105億円 (約 73億円)
●総合運動公園整備に …………… 約  83億円 (約 76億円)
●文化交流センター整備に …………… 約  64億円 (約 61億円)
●学校や給食センター整備に …………… 約  36億円 (約 24億円)
●減税の伴う市税の減収対策に …………… 約  24億円 (約 24億円)
●農業施設や農道整備等に …………… 約  17億円 (約 15億円)
●市街地再開発整備に …………… 約  14億円 (約 14億円)



●公共下水道整備に …………… 約 208億円 (約 159億円)
●農業集落排水設備整備に …………… 約  87億円 (約 56億円)
●市街地再開発整備(駐車場)に …………… 約  36億円 (約 30億円)
●文化交流センター(用地)に …………… 約  11億円 (約 11億円)
(3) 今後の財政見通し
 本市の財政状況は、県内の他市に比べ、主要な財政指標 (財政状況の目安を計る指標)は悪くはありませんが、ここ数年、景気の動向も好転の兆しが見えず、むしろ悪化が懸念されることから、前もってその対策をとっておく必要があります。
 表4は、平成14年度決算をもとにした今後5年間の一般財源ベースで表したものであり、投資的経費については、緊急に整備が必要な道路や施設にかかる最小限の経費を見込んだものです。
 今後、5年間の状況をみますと平成18年度からは取り崩す基金も少なくなり、平成19年度までに約30億円の財源不足が予想されます。
 なお、この推計は、あくまでも現時点での財政諸条件を前提としたものであり、今後の景気の変動による税収の推移や現在論議されている三位一体の改革(地方交付税制度・地方への税源委譲問題等)や社会環境の変化による新たな行政需要の発生などにより変わることがあります。

(3) 今後の財政見通し

〈表4〉 今後の財政見通し(平成15~19年度)( 単位:百万円)
区  分 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
歳 入 [1] 24,179 23,742 23,503 23,465 23,592
歳出 [2]([3]+[4]+[5]) 25,588 25,240 24,302 25,206 25,489
内訳 義務的経費[3] 10,873 11,400 11,551 11,662 11,620
投資的経費[4] 3,162 1,320 1,127 1,486 1,474
その他経費[5] 11,553 12,520 11,624 12,058 12,395
差引額 [1]-[2] △ 1,409 △ 1,498 △ 799 △ 1,741 △ 1,897
市債管理基金の取崩 1,409 1,498 799 641 0
財源不足額 0 0 0 △ 1,100 △ 1,897

 

 

 

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更新日:2019年02月28日