平成31年度発掘調査速報 Vol.5 立花南遺跡-奈良~平安時代の土器作りのムラ-

立花南遺跡(たちばなみなみいせき)

所在地:立花10地割 期間:令和元年10月17日~11月15日 調査原因:住宅建設

奈良時代~平安時代初頭(8世紀後半~9世紀)の竪穴住居跡1軒、土師器焼成遺構3基、焼土1基、溝5条がみつかりました。立花南遺跡では土器を焼いた穴(窯)、「土師器焼成遺構(はじきしょうせいいこう)」が過去の調査で15基みつかっており、北東北でも数少ない奈良時代末の土器を生産した村だったことが分かっています。市内では立花南遺跡のほかにも土器生産した村が多数みつかっており、北上市は当時の岩手県内では土器生産の中心となっていたと考えられています。土師器焼成遺構の大きさは1メートル四方の四角形、深さ30センチメートルほどで、底と壁が強く焼けていました。また、溝跡のうち一つには生粘土の塊が2個埋められていました。土器製作用の材料を保管するための溝だったと考えられます。これらの遺構の発見から、今回の調査地点は遺跡内でも土器生産に関する遺構が集中する、工房群の一角であったことがわかりました。

立花南遺跡空撮

立花南遺跡の空撮写真(北東から)。黄色い丸が今年度の調査地点、赤い線や丸で囲まれた箇所が過去に発掘を行った地点です。

立花南遺跡全景(東から)
立花南遺跡土師器焼成遺構

左:立花南遺跡の全景写真(東から)。写真右手の調査区外に伸びるものが竪穴住居跡、赤丸内が土師器焼成遺構です。

右:土師器焼成遺構の様子(東から)です。底部から壁にかけて赤く焼けており、特に写真上部にあたる壁側が強く焼けています。

土師器焼成窯構造
立花南遺跡粘土貯蔵溝

左:土師器焼成遺構(窯)の構造図。地面に掘った穴の中に薪、土器、わらを順に積み上げて表面に泥や灰を塗って窯を作り、土器を焼きます。この時、熱を特に受ける土器周辺の壁が強く焼けます。

右:生粘土の塊が見つかった溝跡(北から)。白く見える塊が粘土です。土器の素材である生の粘土を保管するためのものとみられます。

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更新日:2020年02月05日